杉林の中にひっそりと佇む五重塔。決してきらびやかではないのですが、見た瞬間、“美しいーー”と感じる建造物です。それはその凜とした佇まいにあるの でしょうか。創建は平安時代、あの平将門公ではないかと言われています。現在の塔は、室町時代に再建されました。1608年に山形藩初代藩主・最上義光 (もがみよしあき)によって大修理が行われたのことです。時代時代で大切に継承されてきたんですね。
Five-storey pagodas are found all over the country.
(左)五重塔の前の五輪塔。笑ってるみたいで、可愛い♡
(右)木造建築にとって、火は大敵! 火の気を察知して消化を行う消火栓が林の中からニラミをきかせております。ご苦労さまです。
苔むした石仏を探すのも楽しいもの。右の石仏は、もともとは一対の男女だったと思われる、双代道祖神です。年月が経ったことで風化していますが、ちゃんと笠をかぶり、よだれかけもしています。
Buddhist statues and representations of traditional deities carved from stone can be found all over Japan.
「出羽三山」とは、山形県にある月山、羽黒山、湯殿山を総称した呼び名です。「出羽三山神社」は、各山の頂上にある神社を総称したもので、出羽神社・月山神社・湯殿山神社の3社のことを指します。
593年、第32代・崇峻天皇の皇子である蜂子皇子(はちこ)は、三本脚の大きな鳥に導かれ、羽黒山に登って山頂にほこらを創設したのが、出羽神社のはじまりです。その後、月山に月山神社、湯殿山に湯殿山神社を創設しました。
◎出羽三山神社…出羽神社(羽黒山)・湯殿山神社(湯殿山)・月山神社(月山)
しかし、月山と湯殿山は冬の間は雪深くて参拝できませんので、羽黒山の出羽神社に三社が合祀されています。
月山と湯殿山は冬の時期は雪深くて登れないため、羽黒山の山頂に建てられたのが、こちら、3社合わせた三神合祭殿です。大堂とも呼ばれ、江戸時代までは羽黒派修験の根本道場でした。出羽三山は修験道の聖地なんです。
三神合祭殿の前には鏡池があり、ここからは多くの銅製の鏡が出土されたそうです。
あたりの山々からは、非常に強い霊気がたちこめていました。個人的な感想ですが、「パワースポット」とは軽く呼べない非常にピリピリとした雰囲気がありま す。厳しい山岳修行や、生きながら仏になる即身仏の修行をした人たちの記憶が残っているのでしょう。遊び半分では行かない方がいいスポットのひとつと感じました。
長い階段を登るとご神体に逢えます。ここから写真撮影は禁止。カメラや携帯電話、スマホはしまい、入り口までで諦めましょう。
閑さや岩にしみ入蝉の声
有名な松尾芭蕉の一句ですが、この山寺で詠んだとされています。ここは860年に、慈覚というお坊さんが開山した天台宗の立石寺という山寺です。ちょっとしたトレッキングも合わせて楽しめる寺です。
うだるような暑さの夏のさなか、仏女仲間と登りました。芭蕉が一句を詠んだその日と同じように、蝉の声が山に響き渡っていました。
鳥海山の麓、遊佐町にある永泉寺(ようせんじ)。伝説や七不思議が残る古刹です。こちらも非常に強い霊気を感じました。
ちなみにお寺の石段を登りはじめるところに、銀杏の老木があります。推定200〜300年だそうです。この銀杏さんにご挨拶してから山門に入りましょう。^^
裏庭にある檀家さんのお墓を通り、裏山を登ると、最上義光(出羽の大名で伊達政宗の伯父)の家臣である、志村光安の供養塔があります。
志村光安さんは、直江兼続率いる1万8000の大軍から今の山形市にある長谷堂城を守り抜きました。それも1000人の守備で。(長谷堂城の戦い)志村さんは戦も強かったんですが、知略に秀でていたようです。全国的になぜか知名度は低いですが、英雄といっていいでしょう。
ここのお寺、非常にピリピリした霊気が漂っているのですが、これは武将の気でしょうね。現代の「戦」は「仕事」です。仕事で頑張りたい人は、一度お参りに来てはいかがでしょうか。裏山はかなり急なので、登りたい人は滑りにくい靴の着用をおすすめします。
永泉寺は現在、長岡市の東光寺さんが管理されているようです。
ご祭神は、大物忌神。倉稲魂命(ウカノミタマノミコト)や豊受大御神と同神と言われておりますが、本当のところは誰にも分かりません。創建は1450年前、欽明天皇の時代のようです。大物忌神社は、鳥海山頂にある鳥海山大物忌神社と、里宮の吹浦と蕨岡などいくつかあるので混乱しやすいですね。鳥海山は山岳信仰の修験道の霊場で、各地域に登拝口の拠点があり、それぞれの山伏たちの間で社殿の建設の位置をめぐる論争があったようです。(論争をするくらいですから、山伏の修行が足りなかったんじゃないかと思えますが……www)
ま、そんな話はこのくらいにして、こちらの神社は最初、シャッターが降りない程、大変に霊気の漂うお社でした。「気」は大変良質に感じました。冬は大変雪深い地域なので、春から秋にかけて訪れると良いでしょうね。
大物忌神社は鳥海山大権現としての修験の場ということで、かつては33の宿坊をかかえていたのだそうです。蕨岡の大物忌神社の隣にも、宿坊だった龍頭寺という真言宗のお寺があります。
龍頭寺は庄内三十三観音霊場の第19番札所でもあります。金剛力士像が有名で、自分の体の弱い部分と同じ箇所を撫でると治るのだとか……。触られすぎたせいか塗装がはげてて少々コワイですが。(笑)本堂には十一面観音などが安置されてます。埼玉県出身のお話上手な和尚さんが、きっと丁寧に案内してくださいます。ぜひ訪れてみてください。